考え中

まったく公共性のない備忘録

天使の分け前

久しぶりのケン・ローチスコットランドモルトウィスキー、キルト、ハイランド…スコットランドの底辺クラスの人生を描いてきたこれまでのケン・ローチ作品に出てこなかったようなモチーフだ。


生まれた時から運が悪い人生というのがある。運命を受け入れる辛さがケン・ローチの持ち味だったものだが、今回はちょっとダニー・ボイル風味が加えられたのか、ハッピーエンディングだ。

立ち直りのきっかけは妻の出産。人生初の神の祝福といってもいい。自分に与えられたものを捨てたり無視したりできる人間はそんなにいない。受け入れて活かすことこそが生きることだ。

神は利酒の才能も与えていた。これを人類のためにとまではいかなくても、社会のために使って働ければ幸せ。才能は社会に還元することで、報酬が得られるというのが、人間界の摂理といってもいいだろう。それがちょっぴり法に触れるとしても。

グラスゴウは今もそんなに荒れているのかは分からないけど、2000年以降はけっこう復興して、美しい街並みも戻っているのではないだろうか。日本ではなんと、この社会的背景が理解されず、ネット上では「悪人が罪を再犯して転機もなにもないだろう」というような感想になってしまうようだ。努力だけが成功のファクターだと思っている人がマジョリティだからね。

感想としては、やはりケン・ローチはやはり救われない結末にしてなんぼ。