愛知県美術館の山下裕二氏三部企画の最後、曾我蕭白展に行った。
年代がいくつかに区切られていて、奇想とかクセが強いとか言える作品は時期による。それと発注を受けて描いているものも多いので、そんなにいつも遊んでいるわけではない。そういう正統の中に、一部ぐあっと迫る作品がある。動きにこだわったり、奥行きにこだわったり光にこだわったりする、その生き生き具合が成功している作品がとくに印象に残る。伊勢の朝田寺所有の2幅の唐獅子図とか。
他には、含みのありそうな作品があるということで、それは解説を読んだり、人物の目つきや仕草を解読しないと難しい。明らかに変な目つきをしていたり、こちらを見ている人物など、訴えようとしていることもあったのかも。この展覧会は、絵の背景や依頼主、描かれる人物や風景の物語について最低限の解説がまめに添えてあった。
そうした解説のなかには、蕭白の滞在地情報があり、伊勢や京都などの土地の影響も感じられるようになっている。それと、江戸時代中期の絵師たちの影響や、室町時代(雪舟とか?)から引き継がれるものなどの視点も解説で触れられている。
影響とは違うかもしれないけれど、円空の円空仏の自由さみたいなものに通じる自由さがあった。ただし円空とは、作品の目指すところは随分違う。曾我蕭白は、型を破ったのかもしれないけれど、それは絵にも画材にも向き合った結果の創意というべきものだろうし、見る人をびっくりさせたいという熱意がすごい。
晩年は同じ人とは思えないような精緻な山水画を描いたりしている。
愛知県美術館の連続企画、1つめの応挙、2つめの芦雪の感想は以下のような感じだった。