はじまりは、リアルライフで落ちこぼれ気味の若者たち、あまりにも普通の実家シーンなどダニー・ボイルっぽい設定と、おなじみの疾走感のあるテンポで繰り広げられる。そこに少しコメディ要素が効いている。Google検索シーンとか、実家のご近所さんとか。
後半は疾走感よりもロマンス中心で、リチャード・カーティスっぽさが全面に出てくる。ずっと目指していた音楽で成功間近なのに、大事な人を置き去りにしなければならないという展開。
全体に、ビートルズ音楽のミュージカルと見ることもできる。
キャストはダニー・ボイル作品の常連に、リリー・ジェームズが加わって華やか。そこへ本人役のエド・シーランと、本人かしらと凝視してしまう仕上がりのジョン・レノンなどサプライズキャストも出ている。ジョンは、なんとノンクレジットのロバート・カーライルがやっているそうで、予習せずに見たので、後で知って本当のサプライズだった。
リリー・ジェームズは、キーラ・ナイトレーを彷彿させる演技で、可愛さに違和感があるところや、歌もうまいところも、今後キーラ・ナイトレーの立ち位置を本格的に埋めていくに違いない女優と見た。
もうひとり、ものすごい存在感のケイト・マッキノン。アメリカ人コメディアンでゴーストバスターズにも出てたそうだけれど、よく知らなかったし、発見である。
イギリスの海辺の片田舎で、スーパーのアルバイトをしながらミュージシャンを目指すジャックと、幼馴染でジャックのマネージャーをボランティア的にしている中学校教員のエリーがいろんな事に巻き込まれるお話。
ジャックは地元のパブで歌うぐらいで、なかなか芽が出ないし、お店の上司から正社員に誘われて、そろそろ音楽の道を断念しようかという時期になっていたところで、奇想天外な停電と交通事故を経て、退院したらビートルズが存在しない世界になっていた。誰もビートルズの名曲を知らないことをいいことに、エド・シーランの前座に始まり、LAのレコード会社と契約をしそうなところまで登っていく。
しかし、常に罪悪感に悩まされ、しかもエリーとの関係が壊れかけていくことで、ついに自分の人生に戻る決心をする。最後に、オブラディ・オブラダで楽しい家族が描かれておしまい。
歌いながら笑いながら鑑賞できる佳作。
