考え中

まったく公共性のない備忘録

ロンドン、人生はじめます

2017年公開の映画。原題はHampsteadで、舞台はHampstead Heathの丘陵地なので、「ロンドン」的なイメージを期待しないほうがいいかもしれない。

美しい茂みを抜けた小川のほとりに立つ掘っ立て小屋にブレンダン・グリーソンが住んでいて、通りを挟んだ瀟洒な住宅街にダイアン・キートンが住んでいる。老未亡人のダイアン・キートンはOxfam(チャリティショップ)の店頭に立つぐらいで生活が成り立っていると見せかけて、実は亡き夫の借金もあって上辺だけの生活である。そうしていられるのもあと少しだろうと悩んでいる。ブレンダン・グリーソンのほうは謎の老人だが、やけに洞察力の優れた人物で、仙人か森の妖精か何かを期待して見ると、実は短気でかたくななホームレスである。掘っ立て小屋の土地も建物も不法居住状態である。

この辺りの設定までは凝っているし、名俳優ばかりだし、不法住人が居住権を勝ち取る裁判という実話ベースという話なので、もう少し盛り上がるのかと思ったら、せっかくの素材がまったく生かされないまま、ノッティングヒルの恋人風ラブコメの型で落ちがついて、がっかりも甚だしい映画だった。