考え中

まったく公共性のない備忘録

昭和のレトロモダン 於:愛知県陶磁美術館

世界の情勢に圧倒されたり卑近な問題に向き合えずに逃げたくなったり、何かと落ち着かない心持ちのこの頃である。Wordleにも飽きてきて粘り強く向き合えない。

肋間神経痛らしき症状はロキソニンのおかげで随分治まったので、机の前でぼうっとするより、バッテリーを入れ替えた自家用車で郊外へ出かける方がいいかもしれないと思い、午後になって外出してみた。

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「洋食器とデザイン画」という副題がついた展覧会が愛知県陶磁美術館で開催されている。愛知県の陶磁器製造販売会社の収蔵品などの展示をそのデザイン画とともに展示している。戦後から、昭和30~40年代に徐々に洋食器を一般家庭に浸透させていった軌跡が伺える。

 

同時に、敷地内にあった狛犬館の展示が本館の玄関先に移動してきており展示されている。狛犬に近づいて見やすくなっている(狛犬館は展示が見にくかった)。

 

とはいうものの、ご覧のとおり(↓)、頂上付近の狛犬は相変わらず遠目に見るしかないのであるが、中腹辺りの狛犬にはかなり近づくことができて、その質感や色味などしっかり鑑賞できた。

 

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その結果、すごく品のいい狛犬に出会ってしまった。

陶製の狛犬には、石製と同等以上の本格的なものから、技術的な限界を逆に生かした例までいろいろある。素朴な滑稽さを売りにする味わい勝負のコミカルな例もある。

狛犬|コレクション|愛知県陶磁美術館 公式サイト

 

しかし、この画像(下↓)の狛犬は異彩を放っていた。

 

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顔つきの美しさも、背筋から頭までの凛々しさも、指先?まで精緻に作り込んだ姿かたちも、体型の比率も、耳の傾きも、見事である。首元の巻毛?も麗しい。

 

特に目を引くのは、青の釉薬である。華やかな艶と見ることもできるし、知的なファッションと見ることもできる。

狛犬界の正統派ではないのかもしれないが、狛犬を超えた貴族感が漂う。

 

右からの撮影しかしていないが、公式サイトに左からも映える同狛犬が掲載されている。「御深井釉青釉流し狛犬」の「吽」である。阿のほうは残っていないのかな、非常に気になる。

www.pref.aichi.jp