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まったく公共性のない備忘録

ゴッホ展─響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

ヘレーネ

ヘレーネ・クレラー=ミュラーという人は、ゴッホの作品を体系的に購入してクレラー=ミュラー美術館に収蔵、展示した人である。そのヘレーネの目を通して、フィンセント・ファン・ゴッホを新たな目で鑑賞できる展覧会が巡回している。

gogh-nagoya.jp

 

糸杉

展覧会はひまわりの後に取り組んだ連作として「糸杉」を大きく取り上げ、《夜のプロヴァンスの田舎道》をチラシに使っている。

一方で、クレラー=ミュラー美術館の体系的な所蔵品を見ていると、初期の人物像の素描をもとに描いた《悲しむ老人(「永遠の門にて」)》の衝撃が大きい。

www.tokyo-np.co.jp

 

どちらも最晩年の1890年5月と記されている。「糸杉」には2つの惑星、2本の糸杉、2人の人物が描かれていて、世界が2つに分かれてしまうようだ。「悲しむ老人」の方は、オランダのハーグにいたころのハーグ派やバルビゾン派の影響を受けた素描に基づく。ヘレーネの虚無を埋めたゴッホの精神性の投影を感じることができる。

 

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展示と解説

各展示には技術面の解説が加えられている。その作品の時期にゴッホがどのような技法を磨こうと鍛錬していたのかや、何を試そうとしていたのかなどが分かる。読書家であったことや、好んで描いたモデルのことなど、ゴッホの誠実な一面を印象づける狙いがあるのかもしれない。確かに狂気と隣合わせの天才というイメージが大きすぎる。

 

ファン・ゴッホ美術館からも作品が合流して、オランダ時代、パリ時代、アルル時代、サン・レミ以降とそれぞれ追っていける。

 

日時指定予約制

昨日23日の開催初日から「日時指定予約制」になっている。9時30分から1時間刻みで上限何人のような制限をかけてチケットを販売している。

面倒な話だが、それなら大混雑はないかもしれないという気持ちになり、さっそくネットで予約してロッピで発行した。券面に日時が指定されている。

指定時間15分後(少しずらして来てと書いてあるので)ぐらいに会場に着くと、まだこの枠の行列は解消されていない。このシステムを知らずに来た人は次の枠の当日券から窓口で購入できるようだ。

 

中に入ると、入場制限のおかげで混んでいるものの、なんとかイライラしないで鑑賞できる。90分ほどかけて鑑賞、グッズを見て出てきたら、入り口にはまた行列ができていて、販売可能な当日券の時間枠をアナウンスする声が聞こえる。

 

追記

(3/29) 桜咲さく土手の散歩中、遠く向こうから赤い装いの2人。桜は2本ではなく、たくさん。

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