考え中

まったく公共性のない備忘録

しろくまの脚は晴れやかPompon展

晴天に恵まれ、フランソワ・ポンポン展@名古屋市美術館へ。

20世紀初頭とは思えない現代的な捨象とデザイン性。無限の時間を費やしても見続けたい無駄のない形。

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ロダンの工房で働きながら人物像をいくつも作るものの、その実力をなかなか認められない時期が続き、ある日、日光のなかで見た鳥に、重要な特徴のためには細部を捨てる勇気が必要と悟ったとか。アール・デコの時代に入り、機能的で単純な輪郭が好まれる時代になり、ポンポンのたどり着いた動物の形はポンポン様式として評価されることになる。

それぞれの動物の特徴を表現するためにぎりぎりまで単純化していても、優先させているのは動物の生き物としてのデザインの特徴の追求なのだが、最晩年になると、よりデフォルメが進んで創作的な作風になっていく。ブランクーシがその影響を受けたのではないかということだが、観覧中、実際にブランクーシが頭に浮かんで仕方なかった。

見ている自分も、動物の形そのものへの本来的な関心なのか、芸術への関心なのか、両者が同根のものだから入り混じって感じられるのか、なにか直感に訴えるものをどうしようもなく抱えながら鑑賞した。