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まったく公共性のない備忘録

Armi elää!

2015年公開(日本では2016年)のフィンランド映画で、原題はArmi elää!邦題は『ファブリックの女王』、北欧ブランド「マリメッコ」創業者アルミ・ラティアの伝記的ドラマ映画である。

 

映画ではあるものの90分弱で、アルミ・ラティアの人生を舞台作品に起こした体裁で、劇場でそれを演じる舞台女優と舞台監督が打ち合わせをしながら作り込んでいく体裁で、その様子をドキュメンタリー映画として制作した体裁で、作ってある映画である。

この複層構造(メタ構造)が、評価の分かれ目であるようだ。

 

女優が女優を演じる部分と、女優がアルミを演じる部分が最もメタ的な効果を出す部分であるが、その部分がメタ的であることの意味を読み解くのは難しい。

実際に描くべきは、アルミ・ラティアという人物が多面的であることだ。その内気な内面と、世界に出ていく攻めの側面、仕事仲間や家族に見せる自己中心的な側面、それらを自分で管理しきれずにアルコールや男性関係に依存してしまう側面などを描き分けることがなんらか意図されるべきかなという印象だった。例えば3~4人の女優さんにアルミ・ラティア像を分けて描くとか(アイム・ノット・ゼアはそういう映画だった)。

 

アルミ・ラティアの人物像については、いろいろ(伝記的に)学ぶところがあった。フィンランド社会の激変期なので、女性の社会進出とジレンマという観点で見ることもできるのだけれど、ここは一人の世界的な起業家として見たいところだ。しかしこれ、男性の伝記だったら、リスクを恐れず自分を信じて疾走し、思うようにいかない時には酒や女におぼれてしまうけれど、表舞台でやりこなす類まれな才能がある・・・割と普通にある成功譚なのかもしれない。