しらかわホールが閉館になるということで、記念公演が続いている。
今日は藤田真央くんのピアノを聞きに行った。
ショパンのポロネーズは楽しみだけれど、リストの難解なロ短調は大丈夫かなと心配しながら行ってみたら、そんなことはまったくなくて、むしろリストが良かった。
いつもの装いで、ハンカチを握った手をフラフラさせながら登場すると、次の瞬間にはポロネーズ1番が始まり、7「幻想」まで駆け抜けた。
しらかわホールは良いホールで、音が響きすぎないし、響いても音の芯は聞こえる。絞りに絞ったやさしい音も、耳元で弾いているようにクリアに聞こえる。
休憩のあと、またハンカチとともに登場して、すぐに演奏が始まり、リストのピアノソナタロ短調が繰り広げられた。そのエネルギーに巻き込まれて、最後まで緊張と集中が続いた。弾き終わっても動かない真央くんと会場が真っ白な静けさを共有した。
緊張が解けて拍手のなか、けっこう淡々と去っていく真央くん。
アンコールはSNS情報ではチャイコフスキーやグリーグだったが、今日はバロックの曲が始まって、知らない曲だがバッハだろうかと思いながら聞いた。そうしたらパッヘルベルだった。カノンしか知らないよ。
パッヘルベル :アポロの六弦琴(6曲のアリア) 第6番 「セバルディーナの歌」 ヘ短調
最後は会場が立ち上がって拍手して終わった。終わってしまって、残念だ。もう一度聞きたい演奏だった。