考え中

まったく公共性のない備忘録

動物たちは何をしゃべっているのか?

シジュウカラのことばを研究している鈴木氏と、世界的なゴリラ研究者で京大総長の山極氏が、動物のコミュニケーションと人間のことばとを地続きに考察する対談である。

 

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動物が言語を理解できるかどうかという問いは長らく研究されているが、どうも「人間と同じように」「人間のことばを」理解できるかのような、人間基準の発想になってしまう。その枠組み自体をいったん解体し、環境、進化、社会、運動能力、認知などの観点から人間も相対化して生物のコミュニケーションの道筋を立てていく考察方法である。

 

環境を知覚するにしても、視覚優位、嗅覚優位など、動物によって世界観は異なるし、運動能力についても、飛ぶ、地面を歩くなど、生物としてのサイズや群れの大きさ、様々な側面がコミュニケーションのあり方を多様なものにする。

 

データから合理的な推論を重ねて出したストーリーを、さらに対談で練って調整していく様子も分かり、科学に欠かせない人文知を印象付けている。