考え中

まったく公共性のない備忘録

椅子考

椅子に夢中だ。椅子は面白い。構造、機能、姿、デザインや色、素材、サイズ感、何もかもがひとつの椅子に集約されて椅子宇宙といいたくなる。

椅子は単体では評価できない。椅子と椅子とが調和したり、椅子と他の家具や部屋の雰囲気が調和したりして、バランスや緊張を作る。いい椅子は環境との関係の中にある。捨てようと思っていた椅子が新たな環境で輝くときもある。他の家具に比べても、椅子の他への依存度は高く、関係の中で評価される。

市場に出回る椅子には数にもデザイン数にも限界があるが、椅子の可能性は広い。少しの違い、脚の形状や座椅子の色、背もたれの湾曲、素材、何億万通り以上の組み合わせが可能であり、それらはまだ試されていない。

椅子の欠点は、いや、欠点ではないのだけれど、現実的な問題として高価格ということがある。椅子をあまく見ていると、椅子ごときにこんなに払えるかという気持ちになる。しかし椅子を考えれば考えるほど、椅子の価格は他の家具よりも高くなってしまうのは致し方ないことと分かってくる。

かといって、椅子は必需品というほどでもない。なければないでなんとかなる。それが椅子の依存的な本質でもある。