考え中

まったく公共性のない備忘録

佐伯祐三展

東京ステーションギャラリーは初めてで、楽しみにしていた。

レンガ造りの東京駅の丸の内北口の一角の美術館だ。

出張が決まった時から、東京駅内だからどんなに時間が迫っていても寄れるよねと思ってわくわくしていた。

 

山手線を降りて丸の内の北口の改札を出てすぐのところにある。列がすごい。

午前中に上野公園を散策したあとシーレ展にも行って歩き続けていたので、列にならぶのが辛いなと思っていたら、チケットがある人は並ばずに入れた。よかった。

 

こちらもオンラインチケットは三次元コードだ。すぐにエレベーターに載せられて3階まで連れて行かれた。混雑はしているものの、十分ゆっくり楽しめる。

 

余談だが、最近は出張の出費で現金を使うことがないので、予定が変わっても費用の心配をしなくていいってのがいい。今回もお賽銭の小銭ぐらいしか現金を出していない。

 

 

レンガの壁にかかる佐伯のパリのレンガ造りの建物の壁の絵、展示場所として最適だった。上の写真は各階の展示室を結ぶ階段である。レンガの壁が楽しめる。

 

佐伯祐三を見るのはシーレよりも久しぶりかもしれない。

展示は、最初の方は初期の自画像で、最初のパリ、日本に帰国していた頃の作品、再度パリへ渡ってからの作品、晩年という感じで見て行ける。

 

日本の風景には日本家屋と電柱がたくさん立っている。その電柱の垂直の線が景色に縦のアクセントをつけている。船着き場の帆船も同じで、帆の綱がたくさん垂直方向というか斜めにたゆむように張られていて、快く画面を支配している。

 

パリ時代の、看板のたくさんある壁の絵は、ポスターに文字が音楽のように踊るように配置されていて軽やかだ。再渡航後には面ではなく線で書くようになってくる。ガス燈やカフェのテーブルの足、歩道を歩く人々、すべて早い筆致でさらさら描いてある。踊るようにさらさらと描かれている。垂直のものは水墨画のひとおもいに描く線を油絵の具でやったようにスっと描かれている。

 

晩年の郵便配達夫、椅子にかけた斜めに傾いた上半身と、広げた足の曲がり具合、その左右のバランス、制服の色の方向のまっすぐな早い筆致、紺色の制服に効いた差し色の赤、線も色も構成もすべてのバランスが完璧で、全く目が離せなくなる絵であった。

 

 ※ポスターもいい。

 

せっかくの東京駅なので、八重洲側の新しい商業施設を見たかったけれど、連日の散策で足がすっかり疲れてしまった。一応丸の内口側から八重洲の方角には歩いてみたのだが、一番街あたりで挫折、残念である。