東京、京都ではJapan Artsが主催していて「山田和樹指揮 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 ピアノ:藤田真央」となっている。愛知県ではCBC主催の音楽祭の3つめのプログラムで、モンテカルロフィルの日本公演としては2箇所目である。
めちゃくちゃ楽しいコンサートだった。
取れた座席が右2階の前列で、1階の後ろの方よりもよっぽどステージに近いので視覚的にも堪能できた。
管楽器と打楽器が主旋律になりがちなプログラムである。弦楽器はリズムだったりする。管も木管が目立つ。ベルリオーズのイングリッシュホルンは、オーボエと持ち替えで高身長のイケメン奏者である。独奏部分の音色も素晴らしく、技も申し分なく悪いところがない。
フルートもクラリネットも、音量も明度もあって時に高く鋭く、最初のドビュッシーから期待通りに美しく、ラベルでは時にピアノと混じり合う優しい低さで、これも非常に良かった。
打楽器が大事なプログラムなので、うっかり後ろ側の席を取らなくてよかった。
ピアノは藤田真央くんで、彼を聴きに来ている観客も多そうだった。期待に応じて開演前のプレトークに出てきてくれた。楽曲の解説半分、夕飯の「やまちゃん」楽しみという話も半分、ラヴェルへのワクワクが高まる。
最初のドビュッシーのフルートの始まりももちろん、続く木管陣もいい。2台もあるハープが効いている。ただ、弦楽器は近いけれど演奏する手が見えにくい座席位置で、どの楽器なのかを目で追おうとすると忙しすぎて追いつかない。
2曲目のラベルのピアノ協奏曲では、ビシっと始まり、管楽器だけではなく打楽器大活躍だった。
一方、座席がちょうどピアノの蓋側で、ピアノの音がやや小さく、ラヴェルらしい疾走感や迫力が分からなかった。弾き方も、音色や表情にこだわったのかもしれない。少しハラハラしながら聴いた。
アンコールのプロコフィエフのソナタ1番はダイナミックに駆け抜けた。これも意外だった。
後半はベルリオーズ、1時間ほどあるのにあっという間だった。詳細は多すぎるので省くけれど第2楽章のワルツのテンポの作り方が良かったし、第3楽章のフルートとイングリッシュホルンの掛け合いがとても良かった。太鼓とティンパニも常に良かった。
第4と第5の間がほとんど間がなく、すぐに第5楽章が始まった。第4楽章の終わり方が壮大なので、終わりと勘違いする人もあるからか?ベルリオーズの物語のような音楽を存分に楽しみ、この最終楽章の歪んだ旋律を聞きながら、終わるのを惜しんだ。
鐘はちょうど我々2階席の足元の見えないあたりから聞こえてきて、ステージで鳴らしているのかスピーカーなのかは判じることができなかった。下を覗き込もうとしたけれど無理だった。
指揮山田和樹氏が最後の方は飛んだり跳ねたり回ったり、演奏する方も聴く方も熱狂の中で終わった。
初めて「ブラボー!」とか言いそうになった。
アンコールは『アルルの女』で、絵本から出てきたようなプロヴァンス太鼓を抱えた奏者が客席に乱入して拍手を要求、観客も新年のラデツキーのような状態で参加した。