考え中

まったく公共性のない備忘録

不思議の国のアリス展

松坂屋美術館で始まった不思議の国のアリス展。マクミラン社の有する原画や初版本など、いろいろなバージョンも展示されるというので、前売り券を準備して「いつ行こうか」と思っていた。

 

(夏休みだし混んでいるかもしれない。お盆だから子どもがたくさん来ているかもしれない。)

 

まったく、そんなことなく、帰省ラッシュも始まっている日曜なのに、空いている。

もう、日本では誰もアリスのことを求めていないのだろうか?空いていてうれしいけど、複雑だよ?

アリスに登場する謎の生き物たちは、たぶんNintendoとかが目をつけて、なにか遊べるものを開発すれば、十分濃いキャラクターたちである。

 

さて、展示物。

じっくりと、小さくて老眼の目には厳しいサイズの原画。

なんとか見つめて理解しようと思うが、展示の合間にある引き伸ばされた印刷物を見るとほっとするし、それのほうが細部が分かってむしろ楽しめる。テニエル45歳のとき、まだ目は良かったに違いない。

 

とはいえ、細かい版画のアリスや登場人物、架空の生き物たち、すべてテニエルによって具体的なイメージになり、お話の魅力の大きな部分を担っている。キャロルは挿絵にいろいろ注文をつけたと言われる。

ルイス・キャロル自身の挿絵も悪くないのだ。テニエルの挿絵と並んで、同じシーンのルイス・キャロルバージョンも展示されている。うまいわけではない、正式な教育を受けた絵ではないのだが、空想の内容が字面より分かるときもある。

 

テニエルの上手さ、アリスのユニークな物語世界への理解とイメージの具現化の力、それでいてテニエル自身の世界観を譲らないその才能はなかなか、絶賛、大絶賛していいし、実際に当時はそうされて大売れだった。その後、アリスの挿絵を創造的にしようという猛者は現れにくくなるほどに。