考え中

まったく公共性のない備忘録

ゲルハルト・リヒター展

豊田市美術館ゲルハルト・リヒターを見てきた。

richter.exhibit.jp

ドイツの現代アート。フォトペインティング、アブストラクト、色、動き、塗りつぶしている作品も塗ってもいない作品もある。

マスメディアやアメリポップアートの影響も強い、誰でもないけれど誰でもある誰かが無限に再生産されることを表現したフォトペインティング。近づくと写真ではなくて油彩だと分かる。よって、皆さん顔を近づけて見ている。その見方がされるべきなので、ガラスケースなどは施さず、白線より下がってご覧くださいということになっていた。

合間にミラーや、グレー一色の作品、ガラス板を連ねた立体作品もある。絵画を”見る”行為は、もともと絵画の中に含意されているはずで、見る人は意識的な知覚をしないので、そのことに気づかない。それに気づいてほしいという感じの作品である。

次に色と質だけで輪郭のない抽象画が続く。色塗りとひっかき、こすり取り、などが手法として使われている。規則性を避けて、なおバランスや調和を探る。

ビルケナウの一連の作品は、ホロコーストをどう表現するかという長年の課題に取り組んだ作品である。アウシュビッツ強制収容所の写真が下層にあり、上層は暗く強い処理で塗り重ねられている4枚連作である。展示は四角い展示室の四面を使い、一面はその連作、その対面にそれらの写し、側面に元の写真(小さい)、残りの面に鏡面の作品を配し、それらを合わせて1セットということで、ひと部屋の展示方法は決められている。