<(45)工部省品川硝子製造所>4丁目
1丁目から5丁目に戻る途中、4丁目の工部省品川硝子製造所内のバーに寄ってアイスコーヒー休憩をしたので、すっかり疲れが飛んで元気になった。
この建物もイギリス風ですごくいい。門柱、窓まわりなど、煉瓦の積み方も特徴的だし、屋根が瓦葺なのもいい。
ガラス製造は近代建築に必要不可欠なので、民間ガラス会社を国が買い上げ、イギリスから職人など呼び寄せて発展したそうである。
このバーでは、明治時代の浅草発祥のアルコール飲料「電気ブラン」を販売している。[電気~」をつけると、当時は新しくておしゃれだったとか。「ブラン」はブランデーベースだからで、太宰の『人間失格』に、すぐに酔うと書いてあったので強いお酒の印象だ。
<(56)大明寺聖パウロ教会堂>5丁目
5丁目の丘の上には登っていなかったので、喫茶休憩後に2箇所訪れた。
聖パウロ教会堂は、ご覧のような農家の掘っ立て小屋風である。「大明寺」という隠れ蓑をもっても寺には見えない。キリスト教禁止令の中、長崎で明治12年(1879)の建築である。
涙ぐましいほどの鐘楼が取ってつけたように屋根の正面に立っている。
この外見なので、内部のゴシック風の美しいヴォールト天井に驚かされる。大浦天主堂と同じ技術が使われているという。
長細い部屋の両側に廊下のようになった通路が設けられている。ゴシック建築なら天井を支えるのにこの通路部分が二重壁になるので機能的に必要であるが、この木造建築では機能上は不要だと思う。様式だけ真似ているのかもしれない。
天井板は、普通の板を丸く曲げて、洋風建築らしくしている。
キリスト教の宗教の力のうち、ゴシック建築の果たす役割は大きいと思うが、どうだろう。