考え中

まったく公共性のない備忘録

ABSTRACTION(アーティゾン美術館)

 

アーティゾン美術館で長い名前の展覧会を見た。「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌフォーヴィスムキュビスムから現代へ」と、かなり詰め込んである。石橋財団のコレクションだけではなく、海外も含めあちこちから借り出して250点と見ごたえもありそうだ。

 

その詰め込みの一つ一つがツボなので(キュビズムはそうでもないが)、避けがたく、スケジュールをなんとかして絶好調のコンディションで訪れた。

 

ブリジストン時代にしか行ったことがないが、東京駅の地下街を上がって目の前にあるのはありがたい。新しいビルに、ABSTRACTIONという文字がデザインされた明るい赤系のポスターが大きく貼ってある。

 

日時指定予約制だったので、すでに先週からオンラインチケットを買ってある。それを見せてすぐに入場できた。朝10時半ぐらいのことである。人は多いが混んではいない。私的には久しぶりの豪華展覧会なのだが、世間的には「マティス展」とか「ガウディ展」とかに引き寄せられているらしい。

 

まず、美術館のWi-Fiに乗れという。スマホにアプリをダウンロードして、Bluetoothをオンにするといいと書いてある。すべてQRコードであっという間にアクセス、ダウンロードできる。Bluetoothをオンにすると、絵の前で自動的にその作品の解説にアクセスできる。いくつかの作品には音声ガイドもついていて、自前のイヤホンで解説を聞きながら回ることができる。いいですね!!!

 

絵の横に貼ってある小さい解説を一生懸命覗きこまなくても、自分のスマホを見ればその絵の解説を読んだり聞いたりできるのである。欲を言えば、音声読み上げのスピードが遅くて、早送りとか再生速度を上げるとかできないのが改善されるといいが、でもそんなの些末な問題だ。

 

19世紀のフランスを中心に始まった抽象化の波が、ヨーロッパの端の方まで伝播して、20世紀には東方の日本にも押し寄せる。その波を感じながら見ることができる並びだった。

やはり最初はセザンヌ

セザンヌはデッサン的には狂いがちだけれど画面の作り方や色の配置は素晴らしい。色の置き方も新しい。技術が発想に追いつかない感じがあって、賛同する後輩たちが次々とその理想を実現していく。

 

マネ、ゴッホ、ゴーガンなど人が多いところを頑張って鑑賞したあと、フォーヴィスムキュビスムの部屋へ移りゆく。キュビズムを参考程度に見ながらフォービズムをがっつり味わった。マティスもあった。ここで良かったのはヴラマンクだった。

 

次は青騎士バウハウスなどへ続く。このあたりから、タイトルの「抽象絵画の覚醒」に入る。モンドリアンブランクーシなどまで、最も楽しいセクションを楽しむ。

日本への影響も少し挟みながら、さらに進んでアメリカの作品も出てくる。ロスコやポロックもある。

 

さらに現代ということで、戦後の日本が来る。ここには具体美術協会がけっこうたくさん並ぶ。中之島美術館から来ている金山明、田中敦子も並んでいる。興奮を抑えきれない並びである。

 

さらに現代アートまで、思う存分堪能した。

 

仕事の時間がせまっていたので、館内のカフェには行けなかったが、週末のランチは予約しないと難しいという噂だったので、いずれにしても入店できないのかもしれない。オンラインチケットと同じように公式ページでカフェレストランの席の予約ができる。次回は試してみたい。

 

ショップは少し見た。所蔵品のグッズは良心的な価格である。アンリ・ルソーのチケットホルダを買う。カンディンスキーのTシャツにも惹かれたが、カラーではなかったのでやめておいた。