考え中

まったく公共性のない備忘録

デ・キリコ展

5時間の間に休憩5分が2回しかない会合(しかも冷房が寒い)に疲れ果てて帰ってきた。ただし内容は楽しかった。

 

午前はまだ元気で、デ・キリコ展に没頭した。

 

 

晴天の上野駅、土曜ということで9時台なのに公園内は家族や修学旅行生や外国人旅行客でいっぱいだった。少し公園内を散歩して東京都美術館に裏からせまった。

デ・キリコ展の公式サイトで公開されている動画、デ・キリコ作品の切り替わるバックでドビュッシーが冴えている。時代を感じる。

 

youtu.be

 

まずは質の表現を楽しんだ。石の切り出した素材とか、板金で打って平らにして丸めて溶接したような素材とか、それらが人体や建物として生を得ている倒錯した感じが官能的である。針金を曲げて止めるような素材の特徴を細部まで書き込んでいるくせに、輪郭は太い。それが絵画であるということを伝え忘れない、それも不思議感を高めている。

 

次に形而上絵画と言われる空間の再構成。

遠近法のことは解説でもよく出てくるが、水平な広がりだけではなく垂直方向もおかしい。高い塔が高い。比率も操作している。足が短い。内と外も反転している。内蔵や家具は外に出て、滝や家が部屋の中にある。最後には時間の再構成がされている。

 

超現実ではあるが、目指しているのはシュルレアリストたちのシュールさではないようだ。形而上絵画と古典派回帰を繰り返し、同じ絵を何度も描いている。モチーフは同じでも、後期の作品では素材感がなくなり画面は装飾的になっていく。

 

今回なかなか見ることができない彫像も展示されている。これがどれもよかった。ピカピカの銀色である。ブロンズに銀メッキがされているそうだ。

とくに「後悔するミノタウロス」。立ち姿がたまらない。いつでも見られるようにここに記録しておく。

 

www.mam.paris.fr

 

こういうミノタウロスや立体のマネキン(これも最高)を見ると、アーティゾンのブランクーシ展にも続けて行きたい。

しかし時間がない。計画では昼食時間が取れるかどうか微妙だったが、館内の精養軒でカレーを食べる時間が取れた。

 

 

上野駅へ戻って、さらに移動に1時間かかる仕事先に向かった。時間的には綱渡りだったが、迷わずに到着できたので間に合った。