考え中

まったく公共性のない備忘録

美術館

昭和のレトロモダン 於:愛知県陶磁美術館

世界の情勢に圧倒されたり卑近な問題に向き合えずに逃げたくなったり、何かと落ち着かない心持ちのこの頃である。Wordleにも飽きてきて粘り強く向き合えない。 肋間神経痛らしき症状はロキソニンのおかげで随分治まったので、机の前でぼうっとするより、バッ…

ゴッホ展─響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

ヘレーネ ヘレーネ・クレラー=ミュラーという人は、ゴッホの作品を体系的に購入してクレラー=ミュラー美術館に収蔵、展示した人である。そのヘレーネの目を通して、フィンセント・ファン・ゴッホを新たな目で鑑賞できる展覧会が巡回している。 gogh-nagoya…

大雅と蕪村

名古屋市博物館で、全4期のうち現在第2期の『大雅と蕪村』の特別展を観た。文人画と呼ばれる中国知識層の非職業絵師の絵画のスタイルを日本に根付かせた池大雅と与謝野蕪村を特別展名としているが、展示内容は少し趣旨が違う。日本では文人みたいな身分に…

Oguissの差し色

稲沢市荻須記念美術館に初めて行った。 車で30kmほどなのに、これまで行ったことがなかった。1983年に開館したそうなので、40年も前だ。30年ほど前に国府宮神社のはだか祭には行ったけれど、それ以外に稲沢というところにあまり行ったことがない。 行って…

バラのすべて

「バラのすべて」という特別展が千葉県立中央博物館で開催中というニュースをどこかで知り、公式サイトを見てみたらとても楽しそうだ。千葉まで行くことは難しい時期なので、図録を取り寄せた。 届いた図録を開くと、やはり面白い。隅々まで読んで、やはり千…

老眼鏡を持ち込めばよかった「ムーミンコミックス展」

名古屋市博物館はここのところ、ちょいちょいスヌーピー展やゲーセン展のような評価が始まったばかりの近い過去の文化を選んでくる。 ちょうど映画「トーベ」も始まり、ムーミンのコミックやアニメ作品も繰り返し売り出されている日本で受容されているムーミ…

曽我蕭白 奇想ここに極まれり

愛知県美術館の山下裕二氏三部企画の最後、曾我蕭白展に行った。 年代がいくつかに区切られていて、奇想とかクセが強いとか言える作品は時期による。それと発注を受けて描いているものも多いので、そんなにいつも遊んでいるわけではない。そういう正統の中に…

しろくまの脚は晴れやかPompon展

晴天に恵まれ、フランソワ・ポンポン展@名古屋市美術館へ。 20世紀初頭とは思えない現代的な捨象とデザイン性。無限の時間を費やしても見続けたい無駄のない形。 ロダンの工房で働きながら人物像をいくつも作るものの、その実力をなかなか認められない時…

モンドリアン展

豊田市美術館で始まったモンドリアン展。オランダのデン・ハーグ美術館から50点、その他を集めて20点、とのこと。 展示の構成は、モンドリアンアートの成立期を順を追って理解できるように並んでいて秀逸。オランダ・ハーグ派時代の風景画に、ある種の幾…

らせんの練習 久門剛史@豊田市美術館

週末も働くブラックな半期がついに金曜で終わり、自由な1日を得た。 (ただし明日の日曜は終日出勤だ) とにかく体内の換気第一。ショッピングよりリスクのない場所を探していたら、5月に諦めた「らせんの練習」が延長開催中だった。 動きと光と音を総合的…

岡﨑乾二郎『視覚のカイソウ』@豊田市美術館

一個のものはそれ自体閉じた解釈を得る。しかし、隣のものとともに認識されるとき、開いた解釈も可能にする。その一個は、いまや部分となり、ひとつ上の階層で違う解釈を得る。 閉じた解釈を失うわけではない。むしろ、隣のものとの対照によって、もともとそ…

市之倉さかずき美術館のショップ

ちょっとしたハプニングがあって立ち寄ることになった市之倉さかずき美術館のショップで、箸置きをいくつかとそば猪口を購入。 美術館は以前に立ち寄ったときに見たので、今回は入場せずに、ショップの盃やぐい呑を鑑賞。 カモの箸置きがかわいい。フェーブ…

コートールド美術館展 魅惑の印象派@愛知県美術館

コートールド美術館、というかロンドン大学付属のコートールド・ギャラリー所蔵品展だ。ロンドンのサマセット・ハウス内にある。30年近く前になるが、初めてロンドンへ行ったときに訪れたギャラリーで、セザンヌ、モネ、ルノワール、ドガ、シスレー、ゴッホ…

ハプスブルク展

騎士と姫と王と王冠と、われわれのイメージ形成の原型的なヨーロッパがこれでもかという感じで展示されている。 巡回なしってことで、年末押し迫る東京へ行ってきた。 ハプスブルク家の収集した至宝という側面ももちろんあるけれど、肖像画の点数が多くて、…

ギュスターヴ・モロー展

ギュスターヴ・モロー美術館から100点。パリのモローの自宅を美術館にしたところで、「出現」を含むサロメの代表作にまつわる習作も多く展示されている。そこから日本で巡回展示に来ている。 昨日、”釘が刺さって”中止となった大阪出張の仕切り直しで、午…

民藝運動と河井寛次郎展

大正15年の民藝運動に関心があって、河井寛次郎展を見に愛知県陶磁美術館へ。瀬戸が近い長久手の奥の方で、ひっそりと展示している。今回の展示は京都国立美術館所蔵品でありで、愛知トリエンナーレの一環の特別展でもある(別件でちょっとした話題の)。 来…

クリムト展

ベートヴェンに捧げるゼセッション(ウィーン分離派)の1901年の展覧会のために制作されたベートーヴェン・フリーズの再現展示を見に行ったつもりだったけれど、ほかも良いのばっかりだった。 黄金時代のユディトI、黄金の騎士、ヌーダ・ヴェリタス(これは…

キスリングーエコール・ド・パリの煌き@岡崎美術博物館

クリムト展も豊田市美術館で開催中だが、お盆の激混み情報を見ていたので、岡崎のキスリング展へ行ってみた。久しぶりの岡崎美術博物館、木が育っていい並木になっている。 建物は丘の上にあり、正面は細く、横に広い。裏口から入ったほうがキスリング展の展…

行列紀行 次に並ぶのはどこだ

最近並ばないのに、久しぶりに一日になんども並んだ。さすがお盆。 出発できず このお盆に金沢へ出張で、午後に到着すればよかったのだけれど、せっかくなので21世紀美術館へ行こうと、朝一番の米原発「しらさぎ」に乗った…というか、乗ろうと思って10分…

ウィリアム・モリスと英国の壁紙展

人間ドックの帰りに松坂屋美術館で偶然みつけて見てきた。 ウィリアム・モリス以前、ウィリアム・モリス商会、アーツ・アンド・クラフツ運動など、当時の壁紙デザインの推移を時系列で紹介する展覧会。 朝早かったので、壁紙のパタンを見つめていると眠気が…

カラヴァッジョ展

所用で東京に来ている。 到着後、食事系の店が開く時間に皇居近くの「いろは寿し」に入った。 天ぷらもお寿司も食べたい人用のランチで満腹以上になったので、神田の古書店を一軒また一軒と潰しながら、陽気の中、上着を脱いで神保町を一周した。 用事を済ま…